写真生活手帖

店主コラム・写真生活手帖 その5「写真展」

2022.02.04

どうして写真展なんてするの?

個展にせよ、グループ展にせよ、写真展にはお金がかかる。作品をプリントするだけでもお金がかかるのに、プラス額装にもお金がかかる。さらには時間も取られる。

それなのに、作品が売れたり、雑誌などのメディアに取り上げられたり、仕事につながったりということは、ほとんどない。さらには、お客さんだって、そんなにたくさんは来てくれない。

それでも良いこともある。

私が思う写真展の良いところのひとつは、区切りが付けられるところだと思う。ある程度作品が溜まってきたら、写真展を目指して、まとめる。写真展が終わったら、また次の作品に取り掛かる。作品を作り続けるために、区切りは必要だ。

ブログやSNSだと、途中でぷつんと更新が止まったり、続けられてもだらだらと区切りなく続けてしまう。でも、写真展ならきちんと区切りがつけられる。

昔、先輩写真家に教えてもらったことがある。「林君、作品をただ作り続けるだけでは、作品が成仏しないよ。」と。若い頃は、それを言うなら「成就」じゃないかと思っていたが、今ならわかる。やはり「成仏」なのだ。自分の、作品の、輪廻転生。

作品に囲まれた空間で

会場で、お客さんと接する時間も、写真展の良いところだ。同じ時間と空間を共有することで、作品への反応を直に感じることが出来る。言葉だけでなく、表情からも。

お客さんが居ない時間は、ひとり、自分の作品に囲まれた空間で佇む。そうすると、今まで自分がやってきたことが、身体に染み込んでくるように感じる。達成感を感じたり、反省したりもする。

そして、目を閉じて、これから自分がどうしていきたいを考える。具体的なテーマというよりは、おぼろげに進んでいく方向を確かめる感じだ。この時間もまた写真展の良いところだ。

作品を作る意味

ものを作る人は、ただ作り続けるのだろう。作っては発表する。その繰り返し。発表する方法は時代によって変わっていく。自分に合った方法でやればいい。

でも、もしあたなが写真展をやったことがないのなら、やってみて欲しい。きっと、自分が作品を作る意味を再確認するだろう。さらに、作品が社会や人とつながっていくことを、直に感じることが出来るだろう。

 

おまけ

写真展に参加してみたい人の相談窓口あります。

写真展に向けて、困ったことがあったら相談してください。