写真生活手帖
店主コラム・写真生活手帖 その6「作品」
2022.02.13
世に出る作品と、自分の作品、何が違うんだろう?
技量?思慮深さ?覚悟?
自分も写真をやるものとして、評価はさておき、作品が写真集として出版されたり、本の装幀として使われたり、人と繋がって世に出ていくことは、身をもって知っている。
でも、そうでない作品もある。
その違いは何か?
技量、思慮深さ、覚悟。きっとそのどれもなのだと思う。
作品が人と繋がって世に出ていくこと。それは、例えるなら、コップに注ぐ水が、いっぱいになって溢れる感じに似ていると、私は思う。
その水には、技量、思慮深さ、覚悟などいろんなものが溶け込んでいる。コップの形も小さなコップだったり、ジョッキだったり、ワイングラスだったする。その人が持つコップに注ぐ水が溢れた時に、世に出ていく。溢れ出ないということは、何かが足りないのだ。
よく、アートには答えがないと言われる。だから、誰でもが良いと思う作品というものはない。
有名な作品と言うのは、誰かが評価して、多くの人が知っているということに過ぎない。
有名じゃない作品がダメわけじゃない。それは、きっと自分と誰かにとっては、良い写真なのだ。
作る人というのは、作品を作り続けるしかない。
どんな時も、作り続ければ、少しづつでも水は溜まる。たとえ、コップから水が溢れなくても、溜まった水は、私を潤してくれる。
作る人にとって、悲しいのは、注ぐ水や、コップがないことだと思う。