妄想文庫

盲目のひまわり 2

2022.03.24

ベットに座ってテレビを見ている僕の後ろには、結衣子が寝ている。

彼女とは付き合い始めてから2年が経つ。僕はカメラマンになるために三重から、彼女はモデルになるために青森から上京してきていた。

ワイドショーがCMに入ると、青空をバックに、最近ドラマで人気の女優が微笑んでいた。手には持っているのは洗濯洗剤。軽快な音楽に乗って商品名が大きく写し出される。さぁ、お洗濯しましょうって誘ってくるみたいだ。

番組自体よりも一段大きくなったCMのボリュームに反応したように、結衣子はゆっくり起き上がり、後ろから僕に抱きついてきた。素肌が触れ、起きたての体温を感じる。僕の肩に顎を乗せるとテレビの方を見て聞いてきた。
「ねぇ、何見てるの?」

ワイドショーで、盲目のアマチュアカメラマンの写真展を紹介してたんだと説明した。
「眼が見えないから、こころで見るんだってさ。馬鹿馬鹿しいよね。」

結衣子は、少し間を置いて言った。
「でも、大切なものは目には見えないって言うんじゃん。」
僕に反論すると言う感じではなく、思いついたことを、そのまま素直に言った感じだった。

それは、誰かの言葉なのかと聞き返すと、今度はちゃんと頭で考えてから、「サン=テグジュペリの星の王子さま。知らない?」と答えた。

全文はこちら > https://note.com/nadar_hayashi/n/n13e166a2b95a