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写真展「寺尾陶象」

2020.12.11

すうっと一本のきれいな線がある。

コロナ禍の中、ふとしたきっかけでご縁のあった陶芸家の寺尾さん。
ホームページ用に、作品の写真を撮って欲しいということで、工房にお邪魔することになった。

京都駅まで車で迎えに来て頂き、夏の鴨川を渡り、東山区の工房へ。
元々ご自宅だったその場所は、木造2階建の昔懐かしい佇まいで迎えてくれた。

陶芸家といえば、なんだか気難しそうと気後れしていたのだが、初めてお会いする寺尾さんはとても気さくな方だった。
実際に作陶している時でさえ、気難しい表情になることはなく、どちらかと言えば穏やかな優しい表情である。
とても愛しいものを、そっと大切に作り上げる感じがした。

作陶に対する考えを伺ううちに、その人柄に魅かれた。
作品というのは、やはりその人の中から出てくるもので、工房の空間さえもそうだと思った。
寺尾さんの作品も空間も、その芯には、すうっと一本のきれいな線がある。
そんなイメージだ。

撮りたくて、撮りたくて、心躍った。

「いかにもスタジオで撮影した商品写真ではなく、もっとオリジナリティーを出して欲しい。」
それが唯一のオーダーだった。それならと、自由に撮らせてもらうことにした。

一番最初に拝見したのが、茶碗「トナカイ形サンタクロース」だ。
その形、色合いから、寺尾さんの優しさが伝わってくる。

工房の中にあるものやひかりをそのまま活かして撮ろう。
そう決めたら、どこを向いても、撮りたくて、撮りたくて、心躍った。

そんな風に撮った写真が嬉しくて、写真集にまとめて寺尾さんに見てもらうことにした。
うまく出来た夏休みの自由研究を早く先生に見てもらいたい子供みたいに。
今回、その写真集の中から特に気に入ったものを展示する。

 

縁あり写真家の林さんに、作品や工房などを撮りに工房へお越しいただきました。気さくに接していただき、工房にある道具や作品の途中の工程の物などに大変興味を持たれ、面白いと言って撮っていただきました。そして、写真集を作っていただき、写真の一枚一枚、私が気にも止め無い物までも、光輝いていて、驚きました。(寺尾智文)

寺尾智文 てらおともふみ

昭和30年 京都に生まれる
昭和56/60年 日本南画院秀作賞受賞
昭和58年 京都東山に陶象窯開窯
平成2年 淡交社主催「90’明日への茶道美術公募展」入選
平成4年 淡交社主催「92’淡交社ビエンナレ茶道美術展」入選
平成8年 伝統工芸士に認定される
平成14/17年 大丸神戸店にて個展開催
平成16年 東急本店にて個展開催
平成17年 広島福屋八丁堀本店にて個展開催
平成20年 大丸東京店にて個展開催
平成22/24/26/28/30年 高松典願寺にて個展開催
平成12/15/18/21/25/28年 令和元年 大丸京都店にて個展開催

HP > https://t-tosho.com/

展覧会名「寺尾陶象」

会期:2020年12月25日(金)〜27日(日)、2021年1月8日(金)〜10日(日)
時間:12:00ー19:00 10日最終日は16時まで。
場所:ギャラリー・晴れ(ナダールと同じ建物、お隣です)〒107-0062 東京都港区南青山3-8-5 M385 BLDG #11
電話:03-3405-0436