写真生活手帖
店主コラム・写真生活手帖 その1
2019.04.09
初めて自分の作品が売れた時の事は今でも覚えています。
「林さん、凄いよ!」
作品を展示させてもらっていたカフェのマスターからの電話です。
あるアートイベントで知り合ったそのマスターのご好意でカフェの壁面に写真を飾らせてもらっていました。1998年だったと思います。まだナダールを始める前の事です。
「展示してる作品は買えますかって聞かれたんだよ!やったね!値段も聞かれたんだけど、いくらにする?」興奮気味に話すマスターでしたが、僕はなん だかまだ実感がわきませんでした。自分の作品が売れる?安い額を使ってプリントを直接マスキングテープで貼った展示だったので、販売するとなると嬉しさよりも不 安の方が先にたちました。
でも、これからも写真で生きていきたいと思っているなら、販売しなきゃ。強くそう思いました。結局、5千円くらいの値段をつけたと思います。会期中に3枚が売れました。
作品が売れた実感と喜びは、展示が終わって少し経ってから訪れました。自分の作品を気に入ってもらっただけでなく対価としてお金を払ってもらえたこと、自分の作品がどこかで飾ってもらえることに、とても幸せを感じました。