妄想文庫

盲目のひまわり 1

2022.03.18

ダークカーテン兼用の黒いカーテンの隙間から、既に登り切った太陽の光が差し込んでいた。映画館の映写機の光みたいに。

ベットから体をおこして、テーブルの上のリモコンを手に取り、テレビをつける。

「眼が見えないのに、どうやって写真を撮るんですか?」レポーターが、カメラを首から下げた男性に質問していた。たまたまつけたチャンネルのワイドショーは、盲目のアマチュアカメラマンの写真展を紹介しているようだ。

眼が見えないんだから、ちゃんと撮れるわけないじゃないか。お涙頂戴だな。まったく。そう呟いた。

「妻が教えてくれるんです。どこに何があるかを。」男性のそばには奥さんらしい女性が寄り添っている。「あとは、私が感じるんです。こころで。」

カメラは、公園らしきところの大きな池に、つがいの白鳥が寄り添っている作品をクローズアップで映し出した。